松とは

2017年12月26日

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日本に生えるマツ科マツ属は

赤松(アカマツ)
黒松(クロマツ)
五葉松(ゴヨウマツ)
北五葉(キタゴヨウ)
朝鮮五葉(チョウセンゴヨウ)
屋久種五葉(ヤクタネゴヨウ)
這松(ハイマツ)

 

 

 

松/マツ属(マツぞく、学名Pinus)は、マツ科で、マツ科のタイプ属である。常緑高木で、針葉樹ではもっとも種が多く、分布域も広い。

日本語でマツといった場合、マツ属の中でもクロマツアカマツを指すことが多い。また日本語でマツを名前に含む樹種にはカラマツ等マツ属でないものもある。庭木盆栽によく用いられる。松脂(まつやに)は様々な分野に利用される。

葉は針状であり、幹には堅い殻が形成される。また、松ぼっくりもしくは松笠(まつかさ)という球状の球果[1]ができる。この中には種子が作られ、マツは繁殖することができる。

日本では長寿を表す縁起のよい木とされ、松、の3つを松竹梅(しょうちくばい)と呼んで重宝している。

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分類上は単維管束亜属(ゴヨウマツ、五葉松類)と複維管束亜属(ニヨウマツ、二葉松類)に分けられる。マツ属には約115種のがある[2]

日本に自生する単維管束亜属として以下の4種及び1変種がある。

日本に分布する複維管束亜属としては以下の3種類がある。

分布

分布域は、主に日当たりの良い地味の乏しい土地を好み、気温的には亜熱帯(リュウキュウマツ)から高山帯(ハイマツ)までの、きわめて多様な気象条件に対応している。世界的にはユーラシア大陸から北米までの北半球全域で北は北極圏近くから南はベトナム(アジア)・コスタリカ(北米)にまで分布。

文化

松は常緑樹として冬も緑の葉を茂らせることから、若さ・不老長寿の象徴とされ、と合わせて「松竹梅」としておめでたい樹とされる。能舞台には背景として必ず描かれており(松羽目)、 歌舞伎でも能、狂言から取材した演目の多くでこれを使い、それらを「松羽目物」というなど、日本の文化を象徴する樹木ともなっている。松に係わる伝説も多く、羽衣伝説など様々ある。また日本のにも植えられているが、非常時に実や皮が食料になるため重宝されてきた。「白砂青松」は日本の美しい海辺の風景を表す言葉だが、近年松くい虫により松枯れの被害が相次いでいる。害虫対策として幹に藁を巻く「こも巻き」は冬の風物詩でもある。

和歌

松は和歌にも古来より取り上げられている。特に古くは子の日の小松引きという行事にあわせて和歌を詠むことがあり、それらの和歌が残る。また高砂の松、尾上の松などが歌枕として詠まれ、特に高砂の松はのちに謡曲高砂』の題材とされ名高い。

ときはなる まつのみどりも はるくれば いまひとしほの いろまさりけり(『古今和歌集』巻第一・春歌上 源宗于
たれをかも しるひとにせん たかさごの まつもむかしの ともならなくに(同上巻第十七・雑上 藤原興風
ちとせまで かぎれるまつも けふよりは きみにひかれて よろづよやへん(『拾遺和歌集』巻第一・春 大中臣能宣

松の位

始皇帝が雨宿りに使った松に「大夫」の爵位を授けたことから松の異名を大夫という。また逆に大夫を「松の位」とも言う。一般的には遊女の最高位である大夫すなわち太夫(たゆう)を指すことで知られる。遊女を太夫と称するのは、古くに猿楽能楽)を遊女が演じた時、座を率いる主だった者が本来五位の通称であった大夫(太夫)を男の能楽師に倣って称したことが始まりだという。邦楽の曲中ではしばしば「松」が松の位の遊女を連想・暗示させるような表現をとっているものがある。

観賞

庭木盆栽などに利用されている。コンパクトなスタイルのもの、葉に斑や模様が入るもの、樹皮が荒れて独特の風格を持つものなど、改良種が多い。

また、日本庭園や、松島天橋立桂浜虹ノ松原など景勝地の景観植物としても重要な役割を果たしている。

木材

パインのフローリング材(ドイツ産)

 

木造建築用の梁・桁などに利用される。近年、マツクイムシなどの被害が多く純林が減少。手に入りにくくなっている。また、鉄道枕木としても使われていた。

なお木材としてのマツの呼称として近年ではパイン材という呼び名が使われることがある。 これはヨーロッパからの輸入住宅のフローリングなどに使われている場合は、欧州赤松を指していることが多い。また北米からの輸入の場合は、2×4建築の構造材やホームセンターに部材として販売されているカナダ産の白っぽい木肌のSPF材を指す場合や、ボウリング場のレーンなどはアメリカ産の黄色っぽい木肌のSouthan Yellow Pine(サザンイエローパイン)を指す場合もある。また、北米産のものは「米松(べいまつ)」、国産のものは「地松(ぢまつ)」と総称することもある。

燃料

他の木材と比べ可燃性の樹脂を多く含み、マッチ1本で着火できるため以前は焚き付けに用いられた。分離した樹脂である松脂もよく燃える燃料として使用された。また、第二次世界大戦中の日本では、掘り出した根から松根油を採取し、航空機の燃料に用いようとしたことがある。

他の木材と比較し単位重量当りの燃焼熱量が高いことから、特にアカマツは陶器を焼き上げる登り窯など、窯の燃料として珍重される。

食用

松の実

イタリア笠松などから採取された松の実は、食用にも供される。60%を超える脂質のほか微量元素も含まれ、独特の香りを持つことから健康食品、菓子等にも使用される。

また、フランス海岸松の樹皮から抽出されるピクノジェノールを多く含むエキスは、サプリメントに利用されている。

アカマツなどの若葉を洗浄して、砂糖水に漬け、葉に付着している細菌の作用で炭酸ガスを発生させて水中に溶け込ませて作る松葉サイダーという飲み物がある。松葉は食用にしないが、成分が溶け込んで、独特の味わいがでる。韓国では、マツの芽の風味を付けた缶入りの炭酸飲料が販売されている。また、松葉風味のも売られているほか、松葉を敷いて風味を付けた「松餅(송편、ソンピョン)」と呼ばれる蒸し餅が作られている。

紅茶ラプサンスーチョンは、タイワンアカマツなどの木材や樹皮でいぶして、独特の香りを付けて作られる。

樹脂である松脂も香料として使うこともあり、フランスなどではマツの香りのするが作られており、ギリシャではレッチーナ(Retsina)と呼ばれる着香ワインが作られている。

松脂の採取

松脂(まつやに)は松の枝、芽などを折ったり、幹に傷を付けたりした際に出る樹脂の事である。樹脂は樹脂道という特殊な組織で、主に昆虫の幼虫の寄生を妨げる目的で合成され、テルペン等の揮発成分を大量に含み、水には溶けない。生成当初は透明から淡黄色で流動性に富むが、揮発成分が減少するにつれ粘り気が増え固化する。揮発成分は特有の芳香がある。酸化により黄色や茶色に着色する。そのまま地中に埋もれても腐らないため、酸化固化を経て琥珀になる。虫がこの樹脂の中に捕捉され、長期間保存されることもある。松脂と同じような樹脂はスギヒノキトウヒモミ等 針葉樹の全てで作られるが、松は特に材の中にも樹脂道を多く持っているため、表面に現れやすく、もっとも有名で、また、幹に傷をつけて採取する場合にも大 量の樹脂の収集が可能である。また、マツはもっとも人に近いところに生育あるいは、植栽されてきたため、松脂は世界中で様々な物に活用されてきた。現在 は、中国などのアジアを中心に、幹にV字型の切り込みを入れる方法で、染み出す松脂の採取が行われている。

松脂を蒸留するとロジンテレピン油ピッチなどの成分が得られ、燃料粘着剤生薬香料滑り止めの添加剤などに用いられる。ロジンは、マツの根などからも得ることができる。詳細はロジンテレピン油を参照。

樹皮

マツの樹皮

樹皮が園芸用品としてインテリアバーク、バークチップなどの通称で流通している。アカマツ、クロマツの樹皮が用いられることが多いがマツ以外のもの も存在するので一概にバークチップ=マツとは言えない。波紋のような縞模様が浮き出たバークは見た目の美しさから観葉植物の鉢植えやグラウンドカバーなど として利用される。室内向けの鉢植えで多く見かける理由は美しさだけではなく、虫が湧きにくく、保湿効果が得られることも挙げられる。屋外では主に装飾、 飛び石や花壇の隙間などのアクセントとして、グラウンドカバーに使用される。踏むと崩れてしまうので装飾用途の場合直接歩くような通路には向かない。付随 効果としては厚めに敷き詰めることで遮光により雑草を生え難くしたり、降雨による土壌流出や泥跳ねを抑え、植物原料のため環境汚染の心配がないことが挙げ られる。

 

 

 

 

Posted by pineworld